2013年6月25日火曜日

オー!メッザルーナ!


10年程前にイタリアでこのメッザルーナという包丁を買ってからは
キッチンではなくてはならない存在となってしまいました。
















メッザルーナとはイタリア語で半月。
その形から由来していることでしょう。
両側にある取っ手を握り、左右にごろんごろんと動かしながら
野菜、にんにく、ハーブなどをみじん切りやペースト状にするのに使うこの包丁。
イタリアのどの家庭にもあるキッチン道具だどうです。
使ってみるとなんとなくその理由が良く分かりました。


















みじん切りがあまりにも手早く簡単にでき、
ごろんごろんとやっているのが、不思議に気持ちが良くて楽しく、
気がつくと鼻唄を歌っていることも。

















この日はコリアンダーとにんにくを一緒にごろんごろん。
材料を一つずつではなく、全部一緒に押しつぶすように刻んでしまうのがコツ。
何種類かのハーブや、にんにくとパセリ、レモンの皮とローズマリーなど、
ごろんごろんと刻んでいるうちにとてもいい香りがしてきます。
それをそのままパスターのソースにしたり、
お肉のマリネにしたり、ドレッシングを作ったり。


















細かく刻んだコリアンダーとにんにくは、オリーブオイルと
チリペッパーと混ぜてコリアンダーオイルに。





















トマトとアボカドにレモンかライムを絞り、
その上からコリアンダーオイルをかけるサラダ、
コリアンダー好きにはたまらない味です。

2013年6月20日木曜日

オリエント急行とズッキーニの花

















昔、母のオリエント急行での取材に同行したことがあります。
大学の卒業祝いを兼ねての旅行でした。
ロンドンからベネチアまで一泊二日の列車での優雅な旅。
一生忘れない貴重な体験になりました。
そして、母との最後の二人だけの旅でもあったため、
大切な思い出の旅でもあります。

正直、今思うとあの旅は少なくても20年は早かったような気がします。
20代前半の大学で縦の世間知らずな私にはまだもったいないような。
母もきっと当時、今の私と同じように思っていたことでしょう。
「私の横にいるのは娘ではなく、素敵な男性だったらもっと良かったのに」と。
その「素敵な男性」とは父のことだと娘としては思いたいです。

確かに、大人になってから、もう一度体験してみたい旅です。
いつかまたやりたいことの一つです。
きっと昔とは全く違った体験になることに違いありません。
















当時の母の年齢とは、今の私とほぼ一緒だと気付いて驚き。
写真は途中駅でちょっとだけ下車した私に、窓から手を振る母。
とてもいい笑顔で楽しそう。

列車内はまるでアガサ・クリスティーの小説の世界。
そして今まで経験したことのなかったようなサービス。
これだったら一生列車の中で暮らしてもいいと
母と二人で冗談を言ったりもしました。

そして美味しい食事。
その中で一生忘れないのがズッキーニの花を使った一品。
















ズッキーニの花は初めて。
当時はズッキーニにお花があるとも知らないぐらいでした。
牛の骨髄をズッキーニの花に詰めたお料理の美味しさと
その時の感激は今でもはっきりと覚えています。

ズッキーニの花の料理はあの日以来食でした。
よく思い出し、食べたいと思っても、季節の問題などで
なかなかタイミングが合わなかったのかもしれません。

そして先日、いつも行く野菜市でついに発見。
迷わず手に取り、すぐレジへ。
















さあ、何を作ろう。
オリエント急行のシェフを真似しようとは、とんでもない。
自分の出来る範囲のものを、と思って豚の挽肉とハーブとお米を
お花に詰めてオーブンで焼いてみました。
















簡単に言えば、ピーマンの肉詰めのズッキーニのお花ヴァージョンでしょうか。
とても美味しかったです。

もちろんオリエント急行の料理とは比べられませんが、
「ズッキーニのお花」を目の前に、あの時を思い出し、
久しぶりに写真や記念品としてとってあったメニューや
車内の個室にあった案内やレターセットなどを手に取って
あの時を振り返る良いきっかけに。

2013年6月11日火曜日

Pots 'n pans


「クロワッサン」6/25号に掲載の
「料理好きの鍋・フライパン談義」の撮影でのランチタイム。

フラワースタイリストの平井かずみさんと
お鍋についての対談、そしてそれぞれがお気に入りのお鍋で
得意料理を作るといった企画でしたので
この日の「ロケ弁」もちょっと特別なもの。



午前中は我が家でお鍋とお料理の撮影。
そして午後は平井さんのお宅で撮影と対談。(そしてランチ!)

そのため、午前中の撮影が終わるとお鍋とお料理を持っての大移動でした。
今回はチキンの白ワイン煮「コック・オー・ヴァン」を
一番のお気に入りの鉄鍋で作りました。

まだ熱いお鍋をタオルで包み、気をつけてロケバスの中へ。
どうなるかちょっと心配。

平井さんのお料理の撮影が終わるといよいよランチタイム。
コック・オー・ヴァンを温めるため、
タオルを取り外すとお鍋はまだ熱々。
さすが鉄鍋。
その間、チキンもゆっくり余熱で調理されていて
ふわふわに柔らかく、スープもまろやか。

余熱の力ってすごいですね。

ランチは平井さんが作ってくださった野菜料理と
自宅から運んだコック・オー・ヴァン。
そしてスタッフが持って来てくださった美味しいパン。
なかなかアットホームな仕事中のランチ。

平井さんの野菜料理、とても美味しかったです。
なかでも大根のソテーはすでにうちでも
何度も真似して作ってみたぐらい。
(レシピは「クロワッサン」6/25号に載ってますよ!)

























二人のたくさんのお鍋。色々な種類があり、
それぞれにストーリーが。
お鍋も長年使っているうちに料理もどんどん美味しくなっていき、
お鍋そのものもどんどんと可愛くなっていくような気がします。

2013年6月8日土曜日

Why not?


最近はまっている技。
お鍋の蓋のつまみの部分にコルクを挟むこと。

コルクの部分を挟んでおけば、熱くなった蓋も
鍋つかみなしで簡単に持ち上げられるとは驚きでした。
コルクは熱くならないから挟んだままお料理もするのも大丈夫。




















スタッキングには便利とは言え、実際に料理中に開け閉めに苦労してきた、
つまみの部分が凹んでいるような蓋も、これで苦労なく使えるようになりました。

ポイントは外れてしまわないよう、ぎゅうぎゅうに入れること。




















一個でゆるゆるの場合はコルクを2コでも3コでも押し込んでしまいます。
シャンパンコルクなど、大きさが異なるものを
いくつか組み合わせればきっとちょうど良い加減にぴったりはまるはず。

使った後、そのまま蓋を洗って収納しても大丈夫。
(でもたまには取り替えたいですね)

つまみが凹んでいる蓋だけではなく、
普通の蓋にもいつの間にか使うようになっていました。

見た目もなかなかかわいいです。

2013年6月5日水曜日

Summer details






















夏の飾り物を取り出しました。

毎年ほぼ同じものだけれど、
久しぶりに見るととても新鮮。

自分で拾った、大好きな海のもの達。

海へ行くと必ずシーグラス探しをします。
きれいなシーグラスはまるで美しい宝石のよう。

でも時々ちょっと珍しい形のものも。
















数年前、瓶の底だと思えるような不思議な形をした
シーグラスを見つけました。

良く見るとキャンドルがぴったり入るサイズ。
















こういった発見って、嬉しいです。

2013年6月3日月曜日

From Yoron to Tuscany to Manchester and back...


与論島に住んでいる父は先月、
妹に会いにイタリアへ行ってきました。

与論島からトスカーナの田舎まではかなりの長旅。
帰り、与論に戻る前に一旦東京に寄った72歳の父もさすがにくたくた状態。
















イタリア滞在中の途中、生まれ故郷でもある
イギリスのマンチェスターにも脚を伸ばしたそう。
何年ぶりに古い友人達と会い、パブで生温いビールを飲み、
美味しいフィッシュ&チップスを思う存分食べることができ、
疲れていたにも関わらず、
日本に戻った時にはなんとなく若返った表情に。
トスカーナの空気とマンチェスターのビールが
いい充電になったようでした。

(与論島での生活で普段十分にのんびりと充電しているのでは、
と思いがちですが、小さな島に住むたった一人のイングランド人としては
やはりそれなりに色々あるようです。)

52年前にバックパックを背負って
世界旅行をするためにイギリスから旅立ち、
途中、東京で日本人女性と恋に落ち、
日本に住み着いた父ですが、
そのバックパッカー精神は未だに抜けていません。

その一つが荷造り。
どんな旅でもとにかく大きな荷物は嫌い、
いつも持って行くモノは必要最低限のみ。
「旅上手の第一条件とは荷物に振り回されないこと」
と、昔は何でもかんでもスーツケースに放り込む娘や妻を見ながら
言っていたのを覚えています。

荷物を持たない、というのは行きも帰りも同様。
そのため、父が旅行をしてもお土産というものには
一切期待を込めないように育ってきました。
(そもそも、元々イギリス人は旅のお土産を
買って来るような習慣はありませんが。)

期待もしなければがっかりもすることもありません。
その代わり、お土産話はいつもたっぷり。
旅をすると必ず面白い出逢いや出来事がある父なので
そのストーリーが何よりもの楽しみでした。

今回もそんな旅のエピソードや、
妹や姪達の近況報告を楽しみに父が日本に戻るのを待っていたら、
驚いたことに、父は小さな旅行かばんから
一つの袋を取り出すではありませんか。





















なんと、ティーバッグが160個もぎっしり詰まっている袋。
マンチェスターのおじいさんの家でいつも飲んでいたのと同じ紅茶。

それはもちろん、普通の人が飲む、
普通のスーパーで買う、普通の紅茶。
私にとっては最も嬉しいイギリス土産。
毎朝飲む濃いミルクティーにはこれしかありません。

初めての父からの旅のお土産。





















「いったいどうしたの?!」と驚いた私。
「ヘザ―はこういう紅茶がすごく好きなのが分かっているから」
とちょっと照れる父。

四十数年、旅のお土産を待った甲斐のある一言でした。