2011年7月19日火曜日

愛着のある木べら

先日、料理をしながら思いました。
キッチンには木べらがいくつもあるのに、いつも使っているのが同じものばかり。

木べらは料理をしている時にすぐ手が届く、ガスコンロの横に白いジャグの中にまとめて入れています。よく見ると使い込んで完全に色が変わっていたり、ちょっと焦げていたり、先がすり減ったりしているものか、まったく使っていない新品のどちらかでした。しかも新品の方が圧倒的に多い。



かつては引き出しに数えきれないほどあった時期がありました。インテリアショップや雑貨屋さんで木べらのセットを見ると「木べらなんて、消耗品のようなものだから買っておこう」とすぐ思ってしまい、リネンの袋に入った5本セットや、かわいいリボンで結んである3本セットなど、若い頃は買っていました。木でできていて、なんだかかわいいんですよね、木べらって。それに値段も手頃なので若い自分でも無理なく買えてちょっと嬉しかったのかもしれません。

家にある今使っているのは捨てて、新しいのにしよう、と思って買っていました。でも結局家に持って帰ると、リネンの袋に入っていてなんだかかわいいな、使うのはまだもったいないからもうちょっと待とう、と引き出しに「大事に」しまっていました。

リネンの袋に入った5本セットを忘れる頃にまた別のお店で、こんどはまた別の形での数本セットを発見。また同じように考え、また買って、また引き出しに「大事に」しまいます。

結局木べらは全く消耗品ではありませんでした。

普段使うのはいつも同じ。ベルギーに住んでいた頃から使っているものなので少なくても15年は使い続けているのだと思います。

数年前、キッチンの引き出しの整理をしていたい時、同じようなものが何本も何本も出てきてそんな自分にあきれてしまいました。ずっと日本に住んでいて、日本で買ってどんどんたまっていったのであればまだしも、ベルギーからドイツへ引っ越し、そしてドイツから日本へ引っ越し、3カ国に渡って木べらがついてきたことにはもう笑うしかありませんでした。しかも、何回も繰り返した引っ越しのたんびにたくさんのものを処分したのに、なぜ木べらだけくっついてきてきたのでしょう?

結局、いくつかのシチュエーションを想定し、形や大きさの異なった数本だけを残し、あとはかわいそうだけれどゴミ箱へポイ。 人にあげてもあまり喜ばれるものではないし、きっと多くの人が自分と同じ状況であることだし。

普段使っているのと新品、見てすぐ分かりますよね。

 「必要」と思った数だけをジャグに入れてコンロの横に置きました。

うちでは調理道具のほとんどがジャグやポットの中、又は吊るしてあり、今はもう引き出しには入れていません。

引き出しにものを入れるとほとんどの場合、忘れられた存在になってしまうからです。

そして引き出しの中のものがどんどんたまっていき、ごちゃごちゃになってしまいます。気がつくと缶切りが4個あったり、お玉が3個あったり、木べらが十数本となっている状態に。 引き出しようの仕切りパネルとか、トレーとか、色々試してみましてけど結果は同じ。

今は見えるところに置いて常に何があるか把握できている状態です。

でも、今回ジャグに入っている木べらを見て、もっと捨てられるのではないか、と思いました。 結局8本のうち、使っていたのは3本ですもの。ということは何を持っているかちゃんと把握しきれていなかった、ということになりますね。あらら。

3本の中でも一番使っているのが右の。

 でも何故全部使っていないんだろう、と一本一本手に取ってみました。
いつも使っているのは自分の手にぴったりフィットし、お鍋に入っているお料理を混ぜてみると動きがとても自然。 使ったことがない木べらは持った感じなんとなく違和感があり、お料理を混ぜる動きがいつもと違う。

木だから、使っている人の手の感じに馴染んでくるのかもしれませんね。使い込んだ木べらはまるで体の一部のよう。

色々なシチュエーションを想定して残した8本であっても最終的にこの数年間、昔から作っているお料理を作り続けながら新しいレシピをたくさん試してきて、色々なシチュエーションがあっていながらも使っていたのはこの3本だけでした。ということはこの3本で全てのお料理ができる、ってことですね。

調理道具ってそんなもんなのかもしれません。凝ったものや洒落たもの、色々ありますけれど多分自分にとって本当に使いやすいもの、使っていて気持ちが良いものはそのうちの数個だけ。確かに考えてみるとお鍋も、いくつかあるなか、ほとんど同じものばかり繰り返して使っています。

そう言えば母も使い込んでいた木べらがあったなー。真ん中に穴の空いた大きな木べら。いつもそればっかり使っていました。

でも、使い込んだ木べらはなんだか味があっていいですよね。
お料理も絶対にこれを使った方が美味しいはずです!